ゆうれい屋敷とテレビと私

こらっ!テレビばっか観てっと馬鹿になるけん。
と、言われることも無く、家にいる間は結構な割合でテレビが付いてます。しかしながら観るというところまで繋がる番組は多くないのも現状で、いわば電気の浪費をしています。家に帰っても誰もいない寂しさからテレビを付ける。紛らわすのには勝手に喋ってくれて、人が映る箱は便利です。
でも、うちは寂しさからだけではない切実な問題があります。この問題のために電気を浪費し続けなければならないのです。
あぁ、哀れな私。
根本的原因は私がこの家を借りたことにあるんです。そうなんです。だいたいお気づきの方もいるかと思いますが、例のごとく霊によって、ゆうれい屋敷なんです。
イエーイ!
黒人ばりのラップは毎晩、電灯がふつっと消える、点く、雰囲気満点のゆうれい屋敷です。引越し始めたばかりのころは毎晩が恐怖心との闘いでした。その恐怖心を払拭するために不審に思えることに科学的理由をつけたりもしました。深酒して泥酔のままに夜を過ごすこともありました。ひとりヘッドフォンをしながら外界を遮断し寝た夜もあります。でも、ヘッドフォンをしながらだと歌ってしまうという新たな問題も発見・・・コホン
話を戻しましょう。
うちはゆうれい屋敷。
昨年の晩秋でした。夜寝ていると後頭部から前頭葉にかけざわざわっと悪寒が走りました。後ろには窓。窓の向こうには井戸と廃屋。風が吹いたのでしょう、木枠にかろうじて刺さっているガラスがカタカタと音をたてました。
イヤッー!
直感のアラート音が鳴り止みません。ますます悪寒は強くなり、背後にいる雰囲気がひしひしと伝わってきます。危険です。こんなに身の危険を感じた夜はありませんでした。それまでなんだかんだあっても私とゆうれいは上手く付き合っていたものだと思っていたのに・・・。
もしや今夜が命日なのか!!
荒れ狂う執念が自分を見失わせてしまったのか!!!
あぁ、あやうし住人。
なんてね。
単に風邪なんですけどね・・・。
ひとり上手と言わないで。
まぁその―――
紆余曲折はありますが、
うちはゆうれい屋敷。
おまけにねこも多い。夜中、窓下でカサカサ音がするのです。もちろん夜中ですから原因がわからず聞き流しおりました。後日、ねこの小便後の所作で枯葉を巻上げていたという・・・。
うちはゆうれい屋敷。
クーラーのない我がゆうれい屋敷では今夏、窓を開け放ち扇風機にて過ごさなければなりませぬ。しかも湿気が多い。去年などは背広にカビが生えてしまったほどです。こんなに恐ろしい部屋があるのであろうか。いいやあるまい。あぁ夏。日本の夏。金鳥の夏。蚊取り線香で自分が燻製になれるゆうれい屋敷。
え?
やっぱ夏はこれじゃん>怪談!
って、思う方はうちでやってご覧なさい。井戸もあります。廃屋までついてきます。裏には蔦もあります。わけわからないソテツの木もあります。実にゆうれい味あふれるサービスがあなたをお待ちしております。そして、きっとあなたも私のようにテレビをつけたくなることでしょう。
つまり、
深夜にホラー映画の宣伝はしないで。
(これが言いたかった)